保冷剤で冷やすクールグッズの様々なデメリット

犬の理学療法

 

こんにちは、yumiです。 

先日、インスタグラムのフォロワーさんからリクエストをいただきました。

「今年に入って、熱中症で亡くなってしまった鼻ぺちゃさんが多いみたいなので、クールネックについての投稿をぜひお願いしたい」とのことでした。

 

とても、悲しい事故ですね。

ワンちゃんとご家族の気持ちを思うと、言葉が出ません。

個別の事例に関するコメントは控えますが、読者のみなさんにとって、この記事が熱中症予防のお役に立てればいいなと思います。

 

結論から書くと、保冷剤で冷やすクールグッズには様々なデメリットがあるため、私はルナとミルクに使用したことはありません。

保冷剤では熱中症を予防できないばかりか、血流や呼吸を妨げ、冷えや肩こり、関節の可動域の低下、関節痛、神経痛、頚椎ヘルニアなどを引き起こす可能性があるからです。

 

なお、最初に書いておくと、特定の商品や使用している人を批判するつもりも傷つけるつもりも全くありません。

犬の解剖生理学と理学療法などの観点から、装着することでこんなデメリットもあるよ、という個人的な見解を書いていますが、もし、ご不快な思いをされた方がいらしたら、申し訳なく思います。

 

まずはじめに、熱中症とは

熱中症は、高い気温や湿度によって体温が上がったり脱水を起こしたりして、全身に生じます。

気温や湿度が高いとイヌは自力で体温を下げられず、死亡してしまう可能性が高く、熱中症が治っても、脳に障害や臓器の後遺症などが残ることもある、恐ろしい症状です。

 

保冷剤で冷やすタイプのクールクッズの種類

調べてみたところ、新素材が使われていたり、色々なデザインのものが販売されているようです。

 

例えば、首に巻くタイプ。

特殊な保冷剤入りでリング型になっているものや、布製のスヌードに保冷剤をいくつか入れるものなど。

 

他には、お洋服やハーネスタイプ。

タンクトップに保冷剤を入れるポケットが付いているものや、エプロン型で、脇の下や胸元のポケットに保冷剤を入れるものなど。

(写真の先代イヴはどちらも着けています。良かれと思って、夏のおでかけ時や通院時に着させていました。息苦しそうだったから使わなくなりましたが、申し訳ないことをしてしまったと、今でも胸が痛みます。)

体に付けるタイプのクールグッズはあらかた、太い血管が身体の表面近くを通る、首や脇の下などを中心的に冷やすことを目的とした作りになっているようです。

保冷剤で熱中症の予防はできない

ところで、みなさんはご存知でしたか?

首や脇の下、太ももの付け根(鼠蹊部)を冷やすのは、

「熱中症になってしまってから」の応急処置だということを。

大塚製薬HP『熱中症からカラダを守ろうー熱中症が疑われる時の応急処置ー』より引用

 

まだ食事療法や理学療法を知らなかった頃、春夏の通院やおでかけのときに、先代のイヴに、首に巻くタイプやエプロン型を使っていた時期があります。

思い返してみると、着けていても、パンティングが止まる様子も、体の熱が下がって楽になることもありませんでした。

首に巻くタイプに至っては、首の周りをぐるっと1周 保冷剤で囲むため、気道が圧迫されて苦しそうだったので、すぐ止めました。

保冷剤について獣医3名に聞いてみた

これまで保冷剤で冷やすタイプのクールグッズについて、イヴ、ルナ、ミルクを診ていただいた3人の獣医さんに聞いてみましたが、3人とも、

 「あくまで応急処置として、首や脇の下を保冷剤や冷水で冷やすことことはあるけれど、予防にはならない。

病院に来ていただいてこんなこと言うのもなんだけど、暑い時間帯の来院は避けて、エアコンの効いた室内にいるのが一番の予防ですよ。」

という意見でした。

 

熱中症のリスクが上がる気温と湿度のライン

気温25度、湿度60%を超えるような環境で長時間 過ごすことは、おそらく例外なく、イヌの体温を上げます。

湿度が高いと体温が上がりやすい理由

気温が高いと体温もそれに伴って上がるのはイメージしやすいと思いますが、

湿度が高くても体温は上がりやすいことはご存知でしょうか。

 

湿度が高い状況とは、空気中の水分量が多い状態です。

そうすると、ふだん、呼吸で取り入れている空気より、水分が多く含まれた空気を取り入れることになりますね。

よって、呼吸による空気の取り込みが減り、酸素の量が減少します。

 

そのため、吸い込める酸素の量が減ると、吐き出せる酸素(二酸化炭素)の量も減ってしまいます。

具体的には、息苦しい、体がだる重いといった自覚症状が出てきます。

気温と湿度が高い状態が続くと、体温が上昇するのに、クールネックで外側から体のごく一部を冷やすことで、予防できるわけがないですよね。

 

ヒトもイヌも、どんな生き物も、地球という大きな惑星が作り出す環境には敵いません。

私が一番効果があると感じている予防策

今のところ、私が一番効果があると感じているのは、不要不急の犬連れの外出を控えて、お散歩は早朝と陽が沈んで涼しくなってから行くことです。

 

代謝が高く体温が上がりやすいルナは、30分ほど歩いたところでパンティングをするので、その前に切り上げて帰宅するようにしています。

代謝が高いけど寒がりなミルクはパンティングはしませんが、耳を触ると熱くなっているので、やはり早めに切り上げて正解かなと思っています。

 

それと、日頃から書いていることですが、

・細マッチョの体型を維持して、血流を良くしておく

・こまめな水分補給で水分代謝を良くする(栄養はスムーズに運ばれ、老廃物は速やかに排出されやすいよう)

・上記2つを実現しやすい食事づくり(5大栄養素をバランス良く新鮮な食材で摂取)

体を中と外から整えることで、ルナとミルクがパンティングすることは一年を通じてほとんどなくなりました。

すごく効果的だと実感しています。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
みなさんと大切なワンちゃんが健やかに過ごせますように。

それでは、また。

犬の食事療法インストラクター師範
ASN認定アニマルホリスティックケアセラピスト
yumi

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